小説「雪国」のふるさと
越後湯沢へ。
もうすぐ4月というのに
吹雪でした。
川端康成が
昭和9年から12年にかけて
「雪国」を執筆した宿・高半を
訪れました。
こちらは
当時の「高半旅館」。
今もそのまま、保存されている
先生の部屋「かすみの間」。
ここで、島村と芸者駒子の
美しい物語が、生まれたのです。
想像していたより、小さく
とても、質素な部屋。
ぽつんと、一人
見放されてしまったような
寂しさ。
窓の外は、白銀の世界。
降りしきる雪が
まるで、心に
積もっていくようでした。
駒子のモデルとなった
芸者、松栄は
川端康成を、愛していたと
言われています。
朝はやく
雪の深い崖を、よじ登り
この部屋をおとずれ
先生が、寝ているうちに
火を起こし
部屋を、暖めていたそうです。
「島村さあん、島村さあん」
と、甲高くいたずらな声が
聞こえて来るようでした。
はあ、カンバーバッチでした。
天才を演じているだけあって
始めはシャーロックにしか見えないのですが。
次第に、アランチューリングという
壮絶な運命を背負った男が
浮かび上がる。
手に汗をにぎり、最後まで
息もつけないほど、スリリング!
英国政府が50年以上、隠し続けた真実。
戦争終結の背景に、こんな事実があったのか
と思うと、ぞっとしてしまう。
私の中では、いつまでも
ポスト・ウィノナライダーだった
キーラナイトレイも
男勝りで、良かったなあ。
「アメリカン・スナイパー」
「イミテーション・ゲーム」
最近は、実話モノが多くて
驚かされることばかり。
いつもは電車で行く場所へ
バスで行ってみた。
日曜だし、時間もたっぷりある。
初めて乗る路線のバスには
どきどきする。
人気のない停留所で、待ちぼうけ。
時刻表を1分すぎ、2分すぎ
3分もすぎれば
いよいよ、不安になって来る。
本当にこのバスは来るのかしら・・
もしや予約でも入れないと
ここには止まらないのではないか?
などと
色々な憶測が、頭をよぎり始め
ようやく遠くの方から
走って来る、バス!
嬉しさのあまり
「はーい!待ってました!」
と、うっかり
手をあげそうになる。
一度、乗り込んでしまえば
もう安心。
通ったことのない道。
知らない風景を眺めながら
のんびり。
淡い夕暮れの光に包まれて
ゆらゆらバスに揺られる帰り道は
なんだか、幸せ。
やっと、雨があがった。
青く澄みきった空の下
静かに、手を合わせる。
あっという間に、月日は
流れてゆくけれど。
かけがえのない毎日を
生きている。
今、この瞬間が、愛おしい。