松下 恵 Official Blog
 
 
 
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心の母
 
 
 
2024/05/11
 

 
小学生のころから
 
「おせっかいおばさん」という
 
あだ名がつくほど
 
周りの子たちの世話を焼くのが
 
好きだった。
 
 
 
中学に入り、奇跡のように
 
受かったオーディション。
 
「3年B組金八先生」で学級委員を
 
演じさせていただくことになった。
 
 
 
他の生徒と比べたら
 
おとなしく地味で
 
印象に残らないタイプだったと思う。
 
 
 
あるとき、緑山スタジオのお手洗いで
 
撮影を見にいらしていた
 
小山内先生と、二人きりになった。
 
 
 
緊張していたので、言葉も見つからず
 
わたしはとにかく笑顔で
 
取り繕ったのを覚えている。
 
 
 
そのときに先生が
 
私を見つめていた目を
 
今でも、忘れられない。
 
 
 
その人の本質を見抜くような
 
すべてを見透かしているような
 
魂を持って行かれそうに
 
興味深いまなざしで、
 
私のことをじっと見ていた。
 
 
 
それから、しばらくして
 
受け取った台本が
 
第14話「オ受験親子の対決」だった。
 
 
 
自分でも自分のことがわからない
 
不安でいっぱいの子供たちが
 
心の奥に隠しているものを
 
 
 
魔法のように感じ取って
 
キャラクターに落とし込んでしまう
 
それが、小山内先生だった。
 
 
 
「心の母」という役柄は
 
まるで私、そのものだったから。
 
 
 
伊丸岡ルミなのか、松下恵なのか
 
違いさえわからずに、演じていた。
 
 
 
あれから28年が経ち
 
今もなお、わたしはその延長にいて
 
お節介おばさんをしている。
 
 
 
母になることはなかったけれど
 
誰かをやさしく包み込めるような
 
「心の母」でいたい、と思っている。
 
 
 
きっとそれが、私の生き方。
 
小山内先生が教えてくれた
 
私の在り方、だと感じているから。
 
 
 
私の人生を導いてくださった先生に
 
心から、感謝をしています。
 
ありがとうございました。
 
 
 
ご冥福をお祈りいたします。
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
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